実印でなくても契約は有効ですか?
契約というのは、実は口約束でも有効に成立します。なので、当然、印鑑については実印でなく認印でも有効です。
では、なぜ実印を求められるのですか?
裁判になった際に、次のような主張がなされることがあるからです。
■「自分は契約していないし、この契約書に押してある印鑑は自分のものではない」という主張
⇒ これが実印で、さらに印鑑証明書が添付されていたりしたら、この印鑑は自分のものではないと主張してもほぼ認められないでしょう。
■契約書に印鑑を押したことは認めつつ「何の書類か分からずに、言われるままに印鑑を押しただけである」という主張
⇒ 実印は重要な印鑑であると認識されていますので、実印を押す場合には慎重になるはずであると考えられています。
⇒ よって、契約書に実印を押しているのに、「何の書類か分からなかった」という主張は通りにくいと思われます。
以上のように、わざわざ実印を押すのは、争いになったときに、次のようなことの証明を容易にするという目的があるからです。
■契約したのが本人であること
■契約する意思があったこと
なお、お金を貸す立場からすれば、実印を押してもらい、印鑑証明を添付してもらえば安全といえます。
実印を忘れた場合は?
実印を忘れてしまったようなケースでは、認印でも仕方ありませんが、署名は必ず自筆で行うようにしたいところです。
ワープロで打った契約書の氏名に認印を押しただけでは、後で本人であることの確認が難しくなり、争いの元になるからです。 |